心臓超音波検査(心エコー検査)
人間の耳には聞こえない高い振動数の超音波を、心臓に発信する検査です。
反射波(返信されるエコー)によって、心臓の様子を可視化することができます。
心エコーでわかること
- 心筋梗塞
- 弁の異常
- 心臓肥大
などの検査ができます。
画像に心臓の動きが映し出され、心臓の働きが正常かどうかも分かります。
X線撮影やRI検査と違って放射線による被曝の心配がありません。
※ 妊婦や乳幼児でも検査を受けることができます。
頸動脈エコー検査(頸動脈超音波検査)
頸動脈とは、脳に血液を送る首の血管です。
頸動脈に超音波診断装置をあてて、首の血管の様子を簡単に画像で確認することができます。
頸動脈エコーでわかること
頸動脈の様子を検査することで、動脈硬化の早期発見や進行具合がわかります。
その際に計測されるのが、動脈硬化の指標のひとつである「内膜中膜複合体肥厚度(IMT)※」です。
動脈硬化を起こすと血管壁が厚くなったり硬くなったりします。その様子が画像で簡単に確認できます。
※IMTとは
Intima Media Thicknessの頭文字で、三層からなる動脈壁の内膜と中膜を併せた厚さのことです。
頸動脈のIMTが1.1mmを超えると動脈硬化と診断されます。同様に全身の動脈硬化の進行も進んでいると考えられます。
超音波で映すことのできる頚部の血管の範囲はさほど広くありませんので、観察範囲という点では、MRI(頸部MRA)や造影CTには劣ります。
しかし超音波では血管壁の内中膜やプラークのリスクなど、他の画像診断では難しい血管や病変の性状について、評価することができます。
すなわち、低エコープラーク、潰瘍型プラーク、狭窄や閉塞などが相当します。
被曝も痛みもありませんので、年月を追って動脈硬化の進み具合を知る事が簡単にできます。
また、食生活の改善や運動療法、投薬などによる予防が可能です。
検査方法
この検査では仰向けに寝た状態で枕を外し、首の部分に、ゼリーを塗りプローブをあてて、検査をしていきます。
左右合わせて数分程度で終了する簡単な検査です。痛みもありませんし、リラックスして受けていただけます。
観察項目
血管壁を観察して、動脈硬化の有無を調べます。
血管壁は図のように、
- 第1層:内膜
- 第2層:中膜
- 第3層:外膜
上記3層によって構成されています。
第1層と第2層を内中膜複合体(IMC)と呼び、エコーによってその厚さを計測します。
IMCの厚さは通常1mm未満です。1mmを超えると動脈硬化が示唆されます。
IMCは加齢とともに厚くなっていきます。
高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などは、IMC肥厚を加速させる危険因子です。
つまり具合の観察
頸動脈の血管腔を観察します。総頸動脈の血管径は通常5~9mmです。
動脈硬化があると、血管がつまったり、狭小化したりします。
エコーで観察し、治療方針などを検討します。
プラークの観察
1mmを超える限局性の壁隆起をプラークと呼びます。
プラークの破綻は脳梗塞などを引き起こす可能性があるため、プラークの観察はとても重要です。
頸動脈エコーでは、
- プラークの大きさ
- 形状
- 表面、内部の状態(硬さ)
などを観察し、治療方針などを検討します。
血圧脈波検査
動脈硬化を検査する
血圧脈波検査では、
- 動脈の硬さ(CAVI)
- 動脈の詰まり具合(ABI)
- 血管年齢
の3つを測定し、動脈硬化の進行度を検査することができます。
あお向けに寝た状態で、両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。
時間は5分程度で、血圧測定と同じ感覚でできる簡単な検査です。
結果もすぐに出るので、その場で医師からの診断が受けられます。
動脈の硬さ(CAVI)
CAVI(読み:キャビィ/Cardio Ankle Vascular Indexの略) は、大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)です。
動脈硬化が進行するほど高い値となります。
大動脈の伸展性の低下は心疾患の発症や予後を規定する因子となることが知られており、早期診断と管理に役立ちます。
動脈硬化症が進んでいるほど、「CAVI」の値は高くなり、9.0を超えると約半数が脳動脈か心臓の動脈である冠動脈に動脈硬化症を発症しているという研究結果もあります。
CAVI基準値
CAVI < 8.0 | 正常範囲 |
---|---|
8.0 ≦ CAVI < 9.0 | 境界域 |
9.0 ≦ CAVI | 動脈硬化の疑い |
判断基準:CAVIが低い
↓
柔らかでしなやかな血管。
血圧が上がると大きくふくらむ。
判断基準:CAVIが高い
↓
動脈硬化を起こした血管。
血圧が上がっても膨らみは小さい。
動脈の詰まり(ABI)
ABI(読み:エービーアイ/Ankle Brachial Pressure Index の略)は、「足の動脈の詰まり」を表す指標です。
足首の血圧を横になった状態で測定すると、健康な人では腕の血圧と同じくらい、あるいは少し高い値となります。
しかし足の動脈が詰まっていると、腕の血圧に比べて足首の血圧は低くなります。
そのため「上腕の血圧」と「足首の血圧」の比をみて、足の動脈の詰まりを診断することができます。
ABI = 「足首の血圧」/「上腕の血圧」
足首の血圧が上腕の血圧より低い場合(値が0.9未満)は詰まっている可能性が高く、その値が低いほど重症になります。
また、その症状は「足の痛み」としてあらわれることが多いといわれています。
血管年齢
同じ性別、同年齢の健康な方の「CAVI」平均値と比較することで「血管年齢」が判断できます。
「CAVI」が9.0未満と診断を受けた方でも、「血管年齢」の高い方は動脈硬化症の進行が早いと考えられますので注意が必要です。
心電図検査
循環器系で最初に行われる検査
心筋細胞が興奮し、収縮するときに微細な電流が発生します。
この電気現象を心電計で記録したものが心電図です。
心電図検査は患者さんに苦痛を与えず、簡便に実施できることから、循環器系では最初に行われる検査です。
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 不整脈
- 心房・心室の肥大・負荷
などの診断に役立ちます。
ホルター心電図検査
心臓は一日に平均すると約100,000回動いています。それを何十年間も休み無く動いております。
「ホルター心電図検査」は、そのとても大切な心臓の一日の動いた回数や心電図波形で診断するための検査です。
検査の目的
- 検診で心電図異常を指摘された。
- 動悸や息切れ、胸痛を感じる。
など、このような主訴によって外来受診された患者様は、まず安静時12誘導心電図の検査をします。
心電図は不整脈や狭心症の診断に欠かせない検査ですが、有症状の時の心電図情報が有用であるため、時々発作があるが検査の時には症状がない際には、有用性が激減してしまいます。
そこで有用な検査がホルター心電図検査です。
手のひらサイズの携帯型心電計にて24時間の心電図波形を記録する事により、動悸や胸痛の原因となる不整脈や狭心症の有無を調べます。
数分で簡単に取り付けることが可能で、つけたまま通常通りの生活が可能です。
つまり、来院時に症状がでなくとも、24時間の間に症状があれば記録可能となります。
検査のながれ
装着してから約24時間後の翌日に再診いただきます。
ホルター心電図はクリニックではずし、その場で医師が解析いたします。(通常は10分程度で解析できます。)
装着中は普段通りの生活を送っていただきますので、患者様の生活に支障をきたすことはありません。
※ 入浴も可能ですが、デリケートな機器ですので乱暴な扱いは避けてください。
不整脈や狭心症が誘発される場面と同じ状況である方が有意義な検査になります。
※ ただし、あまり無理はなさらないように注意してください。
【装着直後】
【検査室退出時】
呼気NO検査
呼気NO濃度測定検査とは、呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。
喘息患者様の気道には炎症があり、炎症性刺激により大量のNO(一酸化窒素)が産生されています。
そのため呼気中NO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができるとされています。
検査のながれ
検査は6秒以上息を吹き込むだけです。測定開始から結果表示まで約1分30秒で完了します。
肺機能検査
呼吸のときの呼気量と吸気量を測定し、呼吸の能力を調べることをスパイロメトリーとよんでいます。
①肺活量(VC)②1秒率(FEV1.0%)(肺の弾力性や気道の閉塞の程度を示します)などを調べます。
換気の機能を調べる基本の検査です。
睡眠時無呼吸検査
熟睡できない、寝てもすっきりしない方
- 日中の過眠
- 睡眠時のいびき
- 繰り返す覚醒
- 熟睡感の欠如
- 集中力減退
- 日中の疲労感
- 血圧コントロール不良
など、上記のような症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を考えます。
睡眠時無呼吸症候群の診断は「簡易型モニター」を一晩装着していただき判定します。
検査結果から、「CPAP療法」の適応を判断します。
CPAP療法とは
CPAP療法とは、就寝時の無呼吸を回避するために、専用の装置を使って鼻に装着したマスクから気道へと空気を送り込む治療法です。
睡眠時無呼吸の症状改善だけでなく、SASに合併しやすい心臓病や脳疾患などのリスクを減らすと言われております。
HbA1c・血糖検査
糖尿病の診断と血糖コントロール
- 空腹時血糖
- 食後血糖
- 随時血糖
- HbA1c
などが用いられます。
当院では検査当日に結果のご報告と、治療方針の決定を行うことができます。
白血球数、CRPの検査
炎症の有無を診断する検査
CRPとは「リアクディブ・プロテイン」と呼ばれる物質で、体内に炎症が起きた際に血液中に現れる蛋白質の一種です。
白血球数とともに、炎症反応の指標となる血液中の物質です。
正常な血液のなかにはごく微量にしか見られません。
- 長く続く発熱
- 長く続く咳
など、患者さんの白血球数、CRPを測定することで重症度の評価ができます。
お子様の場合
耳たぶや指先に細い針を一瞬だけ刺すことで、少量の血液を採取できます。
簡単に検査できますので、ご安心ください。(結果も数分程度で判明できます。)